私たちのうすき時間

第12回 地域おこし協力隊 有機農業隊員(明智)Vol.3

●有機農業・2年目:明智●

こんにちは、有機農業隊員2年目の明智です。
前回は有機隊員2年目の様子と、臼杵の公園事情についてお伝えさせて頂きました。
今回も子育てに関連して、臼杵の食育的な事や、子どもの病院などなど、移住しての子育てに役立てばいいな?という内容をお伝え出来ればと思っております。

まずは臼杵の食育的な事。
私も有機農業をしている身として、食に関しては、意識高い系と言われるような部類に入るのでしょうか。
色々と知識が増えるほどに、子ども達の食の大切さを意識させられます。
とはいえ、有機農産物や無添加食品は相応のお値段ですから、子育て世帯にはハードルが高いのも事実。
そこで嬉しいのが、臼杵では学校給食に有機農法で栽培された”ほんまもん農産物”(※1)が使われています。
この活動、かれこれ10年ほど昔より取り組まれていまして、食育という言葉が一般化する前からというのはすごいなという町自慢(笑)
ただ、全部の野菜が有機ではなく一部なのはご愛嬌……と言いますか、農薬や化学肥料を良しとしない以上、年間通して常に野菜を安定供給し続ける事は、とても難しいのです。
というのも野菜ごとの旬の時期、つまり栽培に適した時期をのがすと、病気や虫による被害が多発して育ちません。

とはいえ、言い訳ばかりでは始まりませんよね。
そこで臼杵が食文化の分野でユネスコの創造都市ネットワーク加盟を認定された事もあり、給食用野菜の有機率アップを目指して、私たち有機農業隊員も栽培試験をしています。
具体的には人参や玉ねぎを、通常より早く収穫して、今まで”ほんまもん農産物”を使えていなかった時期にも、供給出来るようにという取り組みです。
未来を担う子どもたちが、健やかに過ごせる一助になれば嬉しいですね。

また家庭でも有機農産物を使いたい、という方もおられるでしょう。
臼杵市内のスーパーでも、産直コーナーに”ほんまもん農産物”や自然農(※2)で作られた野菜が並びます。
店により時期により変動はありますが、”ほんまもん農産物”コーナー的にまとまって陳列されているお店もあるので、いつもの食卓にもお使い出来るかと。
また、調味料や加工品にもこだわりたい方向けのお店や、材料にこだわったパン屋さんがあったり、有機農産物を中心にしたメニューのカフェもありますし、月1回開催で有機農産物や素材を気にかけた加工品など販売するマーケットもありますから、結構臼杵市内だけでも、こだわりのある食生活が完結できます。
そしてお隣は大分市なので、足を伸ばせばお店の数やイベントの選択肢も増えてきます。
私も臼杵の”ほんまもん農産物”の普及活動の一環として、おおいたオーガニックマーケットに出店させて頂くこともあります。

ご家庭の生活スタイルに合わせて近場でも、足を伸ばしても、どちらも選びやすいのは臼杵に住む利点かなと思います。

続きまして、子どもの病院事情。
子育て世帯の中でも、保育園や幼稚園世代の頃は病院のお世話になる頻度が高いですよね。
我が家の子どもたちも、ちょうどその世代。
コロナ禍の影響もあり、体調が悪い時には、病院での診察を勧められる事もありますので、近くに小児科があると、ひとつの安心材料になります。
本題の臼杵市内ですが、専門的な小児科は一件。
正直、もう1~2件あっても……とは思いますが、致し方なし。
どんな田舎に住んでもそうなのでしょうが、良いところばかりではありませんからね(苦笑)
田舎暮らしの盲点として、病院の少なさは侮れなかったりします。
とはいえ、ここでもお隣さんが大分市というのは大きいですね。
小児科も多くありますし、口コミで高評価の病院が、臼杵に近い立地だったりしますので、我が家もかかりつけとして利用しています。

田舎暮らしのメリット、デメリットは色々ありますし、個々人や家庭により様々ですが「選べない不自由さ」もデメリットの1つだと思います。
どっぷり田舎な場所になるほど、その傾向は強いと思いますが、臼杵の場合、ちょうど良いぐらいの田舎具合な印象です。
ある程度の事は臼杵で完結できて、プラスアルファを求めれば隣の街まで。
ただ車での移動は必須レベルなので、そこだけクリアできれば、あまり不自由のない田舎暮らしが可能です。

ちなみにですが、前回添付した画像の植物、皆さん何だか分かりましたか?
とある野菜の双葉だったのですが、写真ではわかりにくかったかもしれません。
中には人参でしょ? と自信をもって言う方もいそうですが、正解は……

人参は人参でも、黄色い人参でした!
色まで当てられた方が居ましたら、農業の天才かも!?
ぜひぜひ有機農業隊員として志願される事をお待ちしております。

最後に、我が家での食育的なエピソードを1つ。
皆さま、子どもさんやご自身でも覚えがあると思いますが、子どもって野菜嫌いですよね。
ご多分にもれず、我が家もそうでした。
美味しいもの好きなものだけ食べて、野菜はグダグダしながら食べるものだから、その都度叱ったりなだめたり。
地域おこし協力隊以前から、家庭菜園で有機農産物を作って食べていまして、大人は美味しく思うのですが、子どもは有機だから食べるわけではないんだな、と思っていました。
それが、忘れもしない1年前。
有機農業隊員として、自分で秋野菜の栽培をはじめて実り始めた頃、B品や袋詰めから溢れた野菜を持って帰って、自家消費していたおり、妻が具の入った100%の野菜スープを作って夕食に出してくれました。
私としては色んな野菜が育って、我が家の食卓が充実したなと、内心喜んでいたのですが、なんと子どもが美味しい美味しいと言いながら、野菜スープをぱくぱく食べるのです!
え?! なんで? いつもの野菜なのに! と思っていたのですが、思い返すと今まで有機農産物100%で作ったメニューって無かったんです。
ほぼ有機だけど、この野菜だけスーパーで買ってたみたいな。
とても衝撃的な体験でしたし、自分で育てた野菜100%だった事もあり、感動もひとしお。
この頃から、より多くの方に有機農産物を届けたい、さらには子どもたちににも食べて欲しいという思いを持つことが出来ました。
恥ずかしながら、それまでは作ることで頭がいっぱいで、消費者の側に立つ方々の事を考える余裕がなかったです。
今となっては、自分にとっての農業の根幹を築くことが出来た貴重な経験でしたが、この臼杵に来ることがなければ、はたして同じ体験があったのかな? なんて思うこともしばしば。
移住は本人の意思と共に、縁とタイミングも大事だったりしますが、臼杵に興味があってこのページをご覧の方々の、何かしらのきっかけとなれば嬉しく思います。

※1・2…ほんまもん農産物・自然農:第9回、有機農業隊員1年目 三重野さんのページに説明があります。

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