そよふく農園 髙松 賢さん・美恵さん

001.髙松さんご家族(岡山県から移住)プロフィール

夫:賢さん…(昭和46年生まれ)埼玉県出身
妻:美恵さん…(昭和47年生まれ)埼玉県出身
職業…農業(自然農)
移住日…2016年3月
移住元…岡山県
家族構成…娘1人、息子1人の4人家族+猫1匹、鶏12羽

自分たちの農業にあった土を求めて… 臼杵市野津町でReスタートを切る

Q:移住の決め手は?

A:

もともと栃木県で自然農に従事していた高松さんご夫妻。
栃木では土が良く、自分たちに合った農業のスタイルを確立されていたそうです。
関東では代々木公園で開催されているアースデイマーケットなどに出店したり、口コミなどで東京のお客さまも多かったそうです。

そして、2011年の東日本大震災を機に、移住を決意。

岡山県への移住を経て、さらに満足のいく農業ができる土地を探すうちに臼杵市に出合ったそうです。
「自然農は耕さず、草や虫を敵とせず、農薬・化学肥料を使いません。肥料は与えないことを基本としていますが、土地の状態や作物の生育状況により、米ぬかや油粕を補う場合もあります。人があまり手を加えず自然により沿ったやり方です。草は抜くのではなく刈ります。刈った草は捨てずにそのまま土の上へ置きます。朽ちて腐食して土に還り、時間をかけて土壌を豊かにしてくれます」。
有機農業が盛んな臼杵市ですが、自然農はまだまだ大分県内でも実践されている農家の方は多くはないようです。
野津は田んぼだけではなく畑も多いので、野菜作りがしやすそうな土地だというのが高松さんの最初の印象。
ここは水はけが良く、それでいて水持ちも良く、畑で土をいじることの喜びを再び感じることができているそうですが、
気候が温暖である九州は虫が多く、その対策が課題となっているようです。
現在育てている野菜は約50品目、お米や古代米などは自給分とプラスαとして収穫しています。
「自然農と自給自足とは切り離せないと思います」と高松さんは言います。
ほとんど手作業の高松家のスタイルでは大量生産は難しいため、少ない収量での売り上げの中で、いかにお金をかけず、環境に負荷を与えない暮らしをしていくかを考えるのも自然農を実践していく上で、大切なことなのだと思います。

「そよふく農園」の野菜を食べると歯ごたえ、力強さ、そして大地にしっかり根ざした野菜本来の味がします。

「移住して2年目、田畑の状態がだいぶつかめてきました。手応えを感じながら日々過ごしています」。

Q:臼杵の人の印象は? 移住されてみてどうでしたか?

A:

移住モニターツアー「おためし暮らし」に参加した際、臼杵市野津町を訪れたときに出会った家が気になった高松さん。スタッフにその家の話をすると、すぐさまその地区の近くに住む農家民泊をしている方に連絡を取り合い、大家さんとの話し合いまで漕ぎつけることができたそうです。

人の繋がりが生んだご縁を通して、「臼杵の人は優しい」と高松さんは感じているようです。

「役場の人も身近で心強い。人の良さも移住の決め手だった」、賢さんも美恵さんの言葉に頷きながら話してくれました。

Q:移住を検討している人へ

A:

この家にたどり着くまでスムーズに進まないこともあったそうですが、
高松家もたくさんの方々の協力を得て、今臼杵に住んでいます。
「臼杵という場所を気に入ったなら、あきらめないでほしい」
と高松さんは言います。
現在、高松家は「吉四六さん村グリーンツーリズム研究会」に加盟し、農業の傍ら農家民泊の受け入れにも携わっています。
移住モニターツアー「おためし暮らし」に参加して「自分たちもいつか農泊家庭になりたいね」と話していたそうですが、周囲のバックアップもあり、移住して半年すぎにはすでに農泊をスタートしていたそうです。
「周りの勢いとパワーが後押ししてくれました。のんびり屋の私たちにとってはありがたいですね」。
穏やかで物腰の柔らかい彼らだからこそ、人が集まり、何か力になりたいと感じる。臼杵の人たちがいい意味で「おせっかい」をしたくなるのが、2人と話していると分かる気がするのです。

庭には平飼いの鶏が12羽。
家には薪ストーブの芳ばしい香りが漂う。
おやつは自家製の干し芋とみかん。

臼杵市野津町でReスタートを切った高松家。
無駄を削ぎ落としたシンプルな生活は、潔い。
大地と繋がり、自然と呼吸を合わせて生きるスタイルは
とてつもなく格好いい。

(2017年取材)

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