第15回 地域おこし協力隊 有機農業隊員(三重野・阿武)Vol.3
●有機農業・1年目:三重野●
あけましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いします。
※アップは2月ですが、執筆は1月です。
臼杵市での有機農業推進を担う、地域おこし協力隊の三重野です。
移住してちょうど1 年が経過し、臼杵での生活にも大分慣れてきました。
「住めば都」とは素敵な言葉だと実感すると共に、振り返れば「都」と感じさせて貰えた環境に感謝する1 年となりました。
移住2 年目となる今年は「農業」を基軸とした「定住」を本格的に実現するための期間としての1 年を過ごしたいと思います。
元々、骨を埋める覚悟を持って決心した移住だからこそ、1 段階ギアを上げていこうと思います!
そこで、今回のテーマは、定住者を目指す「移住者」の目線で臼杵での生活をご紹介させて頂ければと思います。
1.うすき「農」活
移住前は、他県にて「有機農業・自然農法」などの農業に関わる研究開発や、農地での実証実験の経験もありました。
しかし、その環境は九州の温暖な気候とは違う、標高1,000mクラスの寒冷地!
当然ではありますが、地域が変われば、その土地の農業のスタイルも大きく変わるもので、寒冷地とは環境が違う九州の農業では予想以上に自然から多くの学びを頂きました。
開墾した畑を猪に荒らされ、畑作の中断も余儀なくされましたし、温暖な気候だからこそ、昆虫の活動も活発な期間も長く、キャベツや白菜といった葉物野菜が定植する度に全滅してしまったり。
獣や虫による被害が多いですが、その反面、温暖な気候を利用して年中畑を活用できるのは、この地方における最大のメリットであり、「うすき夢堆肥」や畑に水道が引いてあったりと、他の自治体にはない仕組み作りは、慣行・有機問わず、農業を行うには非常に大きな利点ですね。
とはいえ、厳しい冬の時期は、温暖な気候ながらも植物の生育は緩やかになり、畑仕事も少し減ってきます。
これって農家にとっては、収入が減りやすい時期でもあります。
加工品などの2 次産業、観光農園やレストランなどの6 次産業化も一つの選択肢としてありますが、新規就農者にとっては、結構なハードルの高さかな~と感じます。
そこで救世主となるのが「タケノコ」です!
体一つ、道具一つで掘れます! 食べられます! 売れます!
実際は、そんなに甘い世界では無く、山の整備も必要でかなりの重労働で……。
大体12 月ぐらいから山に入り、電柵などの獣対策のチェックから始まります。
古かったり倒れている竹の伐採や処分、雑草等の草刈りから、枯草の除去。やることは沢山あります。
温暖な気候の九州では、12 月からタケノコが掘れることもあると聞いていた通り、市内のスーパーの産直コーナーでは、春をまたずに臼杵市産のタケノコを目にする機会が何度かありました。
地元の人にきいてみると、春またずのタケノコ、見つけるのも掘るのも非常に難しいようで(特にこの時期は、探すのに技術と経験が必要です)簡単ではないですが、冬場の貴重な収入源としての期待が出来そうです。
また、近年話題となっているSDGs の観点からも、山菜など自然のものを頂き、食料として供給する活動は、持続可能な環境保護にも繋がる良い試みかなと思います。
元々、昔の人々が普通に行っていた良いものを、改めて、考え直す時期が来たのかなと考え、自然と人が喜ぶ「農業」を胸に今後も頑張りたいと、竹山から学ばせてもらいました。
2.うすき「菌」活
農家にとって、冬の時期は畑が落ち着くと同時に春の準備が始まります。
折角、臼杵で農業を行うのだから、臼杵に生息する土着菌を中心に種菌やぼかしづくりを始めました。
私が作るぼかしは、少し独特な作り方をしており、植物由来の農業等で生まれる残渣を主原料に、酸化と還元を行う偏性好気性細菌群から偏性嫌気性細菌群が相互に連鎖し合う環境を作り、発酵させています。
様々な生活環境の違う微生物群を同一環境で発酵させるため、仕込み(原材料のバランス)や切り返し(一度環境を壊し、再度発酵を促す)のタイミングが非常に難しく、季節によって異なりますが、約30 日間の発酵期間中は常に頭がいっぱいになります。
自然、菌、畑も当然ですが、人間の都合では動いてくれません。だからこそ、人の都合に「合わせて」貰うには、それ相応の環境を用意してあげなければなりません。
作るたびに新鮮な学びがあって、作るたびに自身の足りなさを教えてもらえます。
今年は時間を見つけて、ぬか床、漬物、梅干しなども挑戦する予定ですので、みなさんにまた紹介できればなと思います!
3.うすき「魚」活
折角、臼杵に移住したので魚釣りにも挑戦しています。メインのターゲットはアジ!
刺身、焼き、干物、南蛮漬け!
釣れば釣るほど食卓は華やかになりますが、釣れないときは近所のスーパーで魚を買って帰る……。
妻は、毎回アジを釣りますが、欲深い私は、未だにアジを釣ったことがありません!
誰か釣りの極意を教えて下さい! と思い、釣り人に話を聞けば、「昔は沢山つれていたのだけどね~」って話は良く耳にします。
恐らく、温暖化とかの問題だろうな~とは思いますが、それ以上に気になるのが、釣り人のマナーかなと思います。
釣りに行くたびに釣り糸などのゴミを目にします。
仮に環境が戻り、魚が沢山帰ってきても、自然を大切にする心が無ければ、また同じように環境は壊れるだけだと思います。
なので、行く度に目につくゴミを拾えば、いつかはアジを釣らせてもらえるかも! と思いながらも、その欲深さが魚に伝わっているだろうな~と反省したり、このブログの内容を考えたりと、色々と考え事するには釣りは良い趣味になりそうだなぁ~と思います。
なんだかんだで臼杵に移住して1 年。
やりたい事・やるべき事が少しずつ見えてきました。
自然が多いからこそ、やれる事も沢山あると実感すると共に、この自然を後世まで残していく活動も少しずつ行いたい気持ちも芽生えてきました。
もし田舎に移住したい人がいれば、臼杵市を一つの選択肢に入れてもらえたら嬉しく思います。
山でも海でも畑でも、自然に関わる事は、自分次第で何でもできる!
それだけの大きな器が臼杵市の魅力かな~と思いました。
●有機農業・1年目:阿武(あんの)●
協力隊に着任して、約半年が経過し、毎日のように霜が降りる寒い季節となりました。
夏に比べ日照時間が短くなったので、畑での作業時間も短くなり、だいぶ余裕がでてきました。
そのため、畑で体を動かす時間から頭を使う時間に変えようと思い、今までは全然していなかった読書を勉強のために始めました。
春野菜が始まるまでの期間でたくさんの知識をつけようと眠気と戦いながら頑張っています(笑)
野菜の販売では、大分市で毎週土曜日に行われているオーガニックマーケットにも初出店。
お客さんの感想を直接聞けたり、農家同士の繋がりができたりととてもいい経験となりました。
3回の出店を行いましたが、売上は2万円前後とまだまだ少ないので、野菜の栽培方法や販売の仕方などなど勉強が必要です……。
オーガニックマーケット
また、新たに畑を借りられることになり、耕作放棄地だった場所は、草刈りから行い、堆肥散布行って、春野菜から植える準備を行っています。
今年から2反(2,000㎡)使えるようになり楽しみですが、自分はもっと広くしていきたいので、これからさらなる畑探しもしていかなければなりません。
研修用の畑はありますが、独立するために必要な自分の畑を用意して貰えるわけではないので、協力隊期間中に畑と住む家とを探さなければいけません。
臼杵に定住してバリバリ農業をやりたいと思っていても、いい物件を見つけられないと叶わないことなので、今はそこが一番ネックな点です。
新たに使えるようになった畑
堆肥散布を依頼