私たちのうすき時間

第16回 地域おこし協力隊 一般隊員(梶原)Vol.6

●文化芸術:梶原●

前回の更新からだいぶお時間をいただいてしまいました!
さて、去る11月26日(土)、27日(日)の二日間に亘り、劇団ムジカ第三回本公演「GOLD IN THE DUST ~親父の遺産~」が開催されましたので、そのリポートをさせていただきます。

まずは!!!

劇団ムジカのぼり!!!

 

劇団ムジカ横断幕!!!
趣味も仕事も見た目から入る僕としては、大大大満足の演出を施し、準備万端!

 

旗揚公演「ANJIN A NAVIGATOR OF LOVE」、第二回公演「パスキュア ~手遅れな人々~」ではメンバー総出演でサポートしてくれたグループシアターからお祝い花が!

 

そして改めて劇団ムジカオリジナルTシャツもつくっちゃいました!
(写真は、ちょうど稽古期間に○○歳のお誕生日を迎えた山本愛ちゃんのサプライズバースデーケーキを囲んで)

 

そしていつも応援してくれているポルト蔵さんからは常に腹ペコの出演者に食料の配給をいただきました!

そんな時間を経て、、、遂に開幕!第三回となる本公演、出演者は全員大分県内在住の総勢7名!高齢化が進む臼杵市にとっては大きなテーマとも言える「認知症」をテーマにオリジナル戯曲を書きおろしました。認知症がテーマではあるものの、先ごろ人口80億人を突破した世界の潮流とは裏腹に少子高齢化が加速する日本で、「絆」の最小単位である「家族」の姿というものを、僕なりに見つめ直した作品。

国と国の軋轢が益々増している世界の中で、私たちが守るべきものは一体?
きっと多くの方が何よりも先に思いつくのは、家族ではないでしょうか。
でも、皮肉なことに多くの家族は、時に疎遠になったり、いがみ合ったり、奪い合ったり、、、そして気づけば繋がり方すら見失って、、、それが現実。

では、家族とは、一体何をもって家族と呼べるのでしょう。
民法では「家族」とは、「配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。)、父母、子及び兄弟姉妹並びにこれらの者以外の配偶者の父母及び子」と規定されていますが、僕の思う家族、これからの家族の在り方は、もしかしたらもう少し広く、場合によっては緩く、受け止めてもいいのかな、と思っているのです。

本作で登場する「家族」はとってもいびつ。障がいを抱える父、認知症の母、その母の連れ子、それ以外は、血の繋がっていない、「他人」たち。「他人」たちと家族同然に接する父に息子は嫉妬し、家を出て行ってしまいますが、その後、父は認知症の母を残して急死してしまいます。そこから始まる「血」と「他人」、そして「家族」の物語。

 

父、宗夫(僕が演じました!)はしょっちゅうゴミ収集の仕事ついでに、「他人」を拾ってきます。写真は右も左もわからず連れてこられた血だらけの女の子、早希ちゃん。「家じゃなくて、まず病院やろ!」というお客様からの突っ込みが聞こえてきます (;^_^A

しかし、この血だらけの「他人」、早希ちゃん。インパクトが恐ろしい。何千人もの俳優を見てきた僕にとっても、全国区の貫禄です。

早希ちゃんが血まみれの家着を着替えて出て来ると、、、

ペアルック。。。
見知らぬ他人が突然家に訪れて自分の服着ているのを見て呆然とする人の表情は、だいたいこんな感じでしょうね。

さて、過去の回想を経て、場面は火葬場での最後のお別れ。
父を失った「他人」たちが、ひとりひとり、父を見送ります。

ただ、問題は、唯一の息子不在の中再び集まった「他人」たちが、残された認知症の母をどうするのか。。。写真は、「他人」筆頭の愛ちゃん。愛ちゃんは母への愛もさることながら、介護の苦しみを身をもって知っている人物でもあり、強烈な葛藤に苛まれます。

「私が面倒見る」と早希ちゃん、「介護ってそんな簡単なものじゃないのよ」と愛ちゃん、、、でも母の淑子は、認知症の影響か、夫の死すらまるで他人事のようです。

そこへ遂に、息子、祐樹君が帰ってきます。家を出た頃はニート感満載だった祐樹君、何やらちょっと、夜と、お金の匂いが。。。母の世話をこれからどうしていけばいいか苦悩する「他人」たちを前に、彼は迷わず「施設やな」と一刀両断。愛も情けもありません。ひどい!

ほら言わんこっちゃない、早希ちゃんが顔を真っ赤にして激高します。頭に血がのぼると、人間の顔ってこんなに赤くなるんですね。

早希ちゃんにクビを極められて半ばノックダウンの祐樹君。
少しは目がさめたでしょうか。

すると、「おかえり」と祐樹君を迎える凜ちゃん。
「お骨上げの準備が整いました」、そう、凜ちゃんは今、家族のもとを離れて火葬場の職員として働いていたのでした。父を見送る仕事、辛いですね。。。

「お父さん、骨になったけん、お骨上げ、しようね」と母に優しく語りかける凜ちゃん。
しかし、母は、一体誰が亡くなったのかすら、やはりわかっていない様子。。。切ない!

母は夫の遺骨を前にして、電話をかけます。迷った挙句に父の電話に出る祐樹君。
「お父さん、今どこにおるん?」、、、
近くにいながら電話口を介して会話をする母と祐樹君。
次第に祐樹君の過去は詳らかになって行きます。
(実は、祐樹君も他の「他人」たちど同様、父宗夫とは血の繋がりはなかったのです!)

祐樹君は早希ちゃんに首を絞められて改心したのか、母との電話を経て吹っ切れたのか、母に対して父への素直な気持ちを打ち明ける祐樹君。そしてついに、渋っていたお骨上げを、もう一度、母と一緒に、、、
すると灰の中からキラキラと光る何かが!
そう、父が右手の義指(人差し指と中指)につけていた指輪が、溶けてひとつになっているではありませんか。

父が期せずして遺したこの指輪から、祐樹君は何かを感じ取っているようです。

その指輪を大事に持ち続けていた母は、それからちょうど一年後、愛する夫にようやく迎えに来てもらいます。
あれ?祐樹君の服、、、父のそれと同じです。
というのも、祐樹君は父の死を境に、母のもとに戻り、父の仕事を始めたのでした。

気づけば早希ちゃんも、凜ちゃんも、古株だった愛ちゃんも、母の元で再び暮らし始めていたのでした。ちなみに写真左の千明ちゃんは、市役所の職員さんなのですが、一緒に住んでいないもののいつもみんなを心配してくれる優しい子。実は祐樹君とは幼馴染なのですが、それ以上にどんな関係があったのでしょう、脚本を書いた僕にもわかりません。

終演後、舞台にて記念撮影!
写真中央には、この舞台のすべてを製作してくれた我らがグループシアター座長、山本龍兵君です(撮影の時は「ゴミ」になりきっていたそうです)。どうせわざわざ臼杵まで来て製作で入ってくれるのなら、出演もついでに、という僕の問いかけに、「僕が出演したら、ダメな気がするんです。今の、大分のメンバーが必死で舞台をつくっていく姿を、僕は見届けます」と、顔に似合わずかっこいい言葉をいただきました。龍兵君にはキャスト一同最大級の感謝!
そして忘れてはならないもう一人!ゴミに足を乗っけている知的な雰囲気をまとった男性、そう、臼杵タクシー社長の太田さんです。太田さんは旗揚当初から音響まわりのすべてを担ってくださり、太田さんの存在なくしては劇団ムジカは今までもこれからもやっていけません。太田さんにも最大級の感謝!!

ということで、劇団ムジカ第三回本公演「GOLD IN THE DUST ~親父の遺産~」は、怪我や事故もなく、お陰様で幕を閉じることができました。この公演を通じて、これから将来、5年、10年、もっと、いつまでも、劇団ムジカは活動を続けていける!いや、どんなことがあっても続けていくぞ!という信念を皆で共有することができました。ご来場いただいた皆様に、この場をお借りして心から感謝申し上げますとともに、これからの劇団ムジカを引き続き温かく見守っていただきたいと切にお願い致します!

さて追伸、、、ご覧の通り、メンバーが少ない(特に男性)!!!
そんなわけで、劇団ムジカ、劇団員募集!です!来たれ!アツい若者!

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