昆 利雄さん・典子さん

昆さんご家族(神奈川県から移住)プロフィール

夫:利雄さん…(昭和26年生まれ)岩手県出身
妻:典子さん…(昭和33年生まれ)神奈川県出身
移住年月…2016年10月
移住元…神奈川県
家族構成…2人暮らし

次なるステージは、ほどよい田舎で。 シニア移住の理想となる夫婦の暮らし

Q:移住の決め手は?

A:

暖かな陽射しが降り注ぐなか、柔和な笑顔で玄関先まで出迎えてくれた典子さん。
明るく朗らかに歌うようにお話しをする典子さんと、言葉を選びながら丁寧にお話しをする利雄さん。
お二人の上品で落ち着いた雰囲気に「こんな風に年を取りたい」と純粋に思わせてくれる、理想のご夫婦が臼杵に移住しました。

大分県はもともと典子さんのご両親の出身地だったそうです。
家族で暮らしていた横浜から、ご両親が20数年前に「長男なので、退職後は実家へ戻る」と、ひとりで暮らしていたおばあちゃんの住む竹田市へUターンされていました。

昆さんご夫妻の生活基盤は神奈川県にあったのですが、たまたま竹田の断水時に居合わせて水汲みなどを手伝えたけれど、両親だけだったら重い水のタンクは持てなかっただろうと、親が老いたことを実感しました。
これからのことを考えると自分たちの居住を大分に絞って考えた方がいいのではないか? 親の近くにいた方がいいのではないか」、そう思うようになっていったと言います。

その後、利雄さんが定年を迎え、いよいよ大分県への移住計画も本格始動。
利雄さんは海があるところを希望し、典子さんはご両親がいらっしゃる竹田市に近いところを希望されていました。
東京で行われた移住フェアに訪れた際、臼杵市と出合い、環境・立地を気に入ってくださったそうです。そうして臼杵の地で家探しをスタートさせました。

その当時、臼杵市は移住・定住政策をスタートさせてまだ間もない頃。
遠方の神奈川県から訪ねての家探しは苦労されたそうです。
何度かの臼杵市訪問でもマッチングする家が見つからず、くじけそうな気持ちにもなったある時、あと半日あると一縷の望みをかけて、民間の不動産屋さんの門を叩いたそうです。
そして運命的な出合いを果たしたのが、現在住まわれているお家。
自然豊かでありながら、「東九州自動車道」の臼杵インターチェンジに近く、車で5分も行けば大型スーパーや生活用品店もある利便性もいい地域。
お二人の理想の場所で希望通りの家がついに見つかったのでした。

Q:臼杵の人の印象は? 移住されてみてどうでしたか?

A:

地域の人も親切で、溶け込みやすかったそうです。
その地区に住んでいる方の年齢層は高めだそうですが、保育園児たちのお散歩をする声が聞こえてくるなど、のどかな時間が流れているこの場所を気に入られています。
もともとは田んぼを宅地にした住宅街で、比較的新しい地区なのも移住者にとっては住みやすい環境なのかもしれません。

移住してから感じたのは、食の豊かさ。
「野菜や魚が安くて美味しいのにびっくりしました」と典子さん。
関東では見ることのなかった珍しい魚もあったそうで、移住されて1ヶ月はほぼ毎日お魚料理が並んでいたと言います。
移住前は、利雄さんと典子さんは共働きでお忙しい時間を過ごされていましたが、臼杵に来てから、利雄さんは臼杵市の「まちゼミ」に参加してボートに乗って釣りに出かけたり、趣味のバイクで山道を走ったり。典子さんはかつての趣味であった木彫りも再開されたそうで、大分市までカルチャースクールに通われています。

臼杵市の生活をこう表現してくれました。
「毎日が日曜日のようで、のんびりさせてもらっています」。

典子さんはウォーキングも楽しみのひとつ。
「川沿いのコースを歩いたり、神社まで足を運んだり。人以外の生き物に会えるのも楽しみなんです。都会にいると人で溢れていて息苦しくなるんですけど、ここは川へ行くとカニがいたり、田んぼの近くへ行けばサギに出会えたり。地球上には人間だけじゃない、いろんな生き物がいるんだなぁと、ふと思うと心が癒されます」。
夏には、家の樋(とい)にカエルが住み着いているのを見つけ、写真を撮ってSNSにアップするなど、日常のちょっとした驚きや喜びを見つけ、田舎ならではの楽しみを満喫されているようです。

Q:移住を検討している人へ

A:

一番苦労したのは家探し。
1年数か月かけて探されたそうです。時間はかかるし、くじけそうにもなったのですが「親の力になりたくて移住するとはいえ、これからの自分たちが人生を送る場所になるので、安易な妥協はしたくなかった」と昆夫妻。
「まずこれから自分たちがしたい暮らしを思い描いて、移住先でそれが叶うかどうか当てはめていくことが大切。なにが自分たちにとって必要か優先順位を決めて進んでいくことをおすすめします」。

お二人で暮らすには、大きな二階建てのお家。
「息子たちが帰省した時に泊まれるように」。
かつて典子さんが竹田のおばあちゃん家に帰省したときに感じた田舎の空気感。
成人した息子さんたちが、都会で疲れたときにふと帰ってきて息抜きして、臼杵で深呼吸できるように…。
そんな昆夫妻の想いが溢れた優しい空間で、今日も二人でゆったり過ごしているのが眼に浮かびます。

(2017年取材)

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